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MPGN・C3腎症
について
膜性増殖性糸球体腎炎ってどんな病気?
膜性増殖性糸球体腎炎(まくせい・ぞうしょくせい・しきゅうたい・じんえん)やその一部であり新しい分類であるC3腎症(じんしょう)は、腎臓(じんぞう)で起きる病気の名前です。
英語での病名(Membranoproliferative Glomerulonephritis)の頭文字をとって、MPGNとよばれることもあります。
腎臓は尿(にょう)を作ることで、体のなかをきれいにする役目をはたしています。
MPGN(C3腎症を含む)(以下、MPGN・C3腎症と略します)になると、腎臓のなかにある糸球体(しきゅうたい)という場所がダメージを受け、炎症(えんしょう)が起こります。
そのせいで、腎臓がうまくはたらかなくなってしまいます。
実はMPGN・C3腎症の発病には、免役(めんえき)という本来なら体を病気から守ってくれるはずのしくみが深くかかわっています。
このページではMPGN・C3腎症がどのような病気か知るために、以下の内容について解説します。
目次
腎臓の主な仕事は尿を作ること
腎臓は、おなかの下のほうにある臓器(ぞうき)です。
腎臓には老廃物(ろうはいぶつ)という体を動かすときに出たゴミがふくまれた血液が運ばれてきます。その血液(けつえき)から尿を作り、そのゴミを捨てることが腎臓の主な仕事です。
尿を作るときに大切な役割をはたしているのが、糸球体です。
糸球体は毛細血管(もうさいけっかん:とても細い血管のこと)のあつまりで、かべがフィルターのようなつくりになっています。
そのかべを使って血液をろ過して、体に必要なものといらなくなったゴミをわけています。そしてゴミは尿となって体の外へ出ていきます。
つまり腎臓は体のなかのゴミを尿として外に出すことで、体のなかをきれいに保っているのです。

免疫は敵から体を守るしくみ

MPGN・C3腎症の発病には、免疫が深く関わっています。
免疫とは、ウイルスや細菌(さいきん)、花粉(かふん)などの体に入ってきた異物から自分の体を守るためのしくみのことです。
このような異物をまとめて抗原(こうげん)とよびます。
抗原をつかまえるのが、体のなかにある抗体(こうたい)です。
抗体は免疫グロブリンというタンパク質でできています。
抗体は抗原を見つけると、くっついて免疫複合体(めんえきふくごうたい)になります。
抗体がくっつくことで、敵である抗原は動けなくなります。
さらに免疫複合体には、補体(ほたい)というタンパク質もくっつきます。
補体も体を守るためにはたらくタンパク質のグループのひとつで、C3やC4などの種類があります。 補体は免疫複合体にくっついて、抗原への攻撃をサポートする役目をはたします。
そして免疫複合体は、脾臓(ひぞう)や肝臓(かんぞう)で分解されて取りのぞかれます。
MPGNは免疫複合体と関係がある病気

MPGNになると、本来なら肝臓や脾臓で処理されるはずだった免疫複合体が腎臓のなかにある糸球体にくっついて、たまってしまいます。
また、補体も糸球体にくっつきます。
その免疫複合体や補体が原因で糸球体がダメージを受け、炎症が起こってしまうのです。
その結果、腎臓のはたらきが悪くなります。
特に、免疫複合体が強く関係しているタイプのMPGNを免疫複合体型MPGN(IC-MPGN)といいます。1)
C3腎症は補体と関係がある病気

さらにMPGNの中でも新しい分類としてC3腎症があります。1)
C3腎症では、補体のひとつであるC3が活発になりすぎることで、糸球体がダメージを受けます。

C3のはたらきが活発になりすぎてコントロールできなくなることで、体にとっての敵ではないにもかかわらず糸球体を攻撃してしまいます。
さらにC3が糸球体にくっつきます。
そこにC3のかけらなども加わり、腎臓に炎症が生じる病気です。
その結果、腎臓のはたらきが悪くなります。
どんな症状が出る病気なの?
MPGN・C3腎症になると、腎臓のはらたきが悪くなり以下のような症状が見られるようになります。
- 体に必要なタンパク質まで尿として外に出されたり(タンパク尿)、尿に血がまざったり(血尿)します2)
- 血圧(けつあつ:血液が流れるときに血管のかべをおす力)が高くなります(高血圧)2)
- 体に必要なタンパク質が少なくなったことで生じるむくみに気づき、それをきっかけに病気が発見されることがあります※
※むくみ3)は、ネフローゼ症候群(しょうこうぐん)を併発(へいはつ:ある病気と同じ時期に発症する別の病気のこと)している場合2)に特に出やすい症状です。
病気が進行すると、腎不全(じんふぜん)という腎臓のはたらきが大きく低下した状態になることもあります。
腎不全になると老廃物や水分を体の外に出せなくなり、体のなかにいらないゴミがたまってしまいます。
何人くらいの患者さんがいるの?
一次性(いちじせい)※MPGN(C3腎症を含む)は日本で指定難病(していなんびょう)のひとつとされており、とてもめずらしい病気です。
※「一次性」とは、「病気になった理由がはっきりとわかっていない」という意味です。くわしく知りたい方はコラム「一次性と二次性はどう違うの?」をお読みください
指定難病には、病気になった原因や完治のための治療法がはっきりとはわかっておらず、長い時間をかけて治療する必要がある日本国内で患者さんが少ないめずらしい病気がえらばれています。
ただ、それぞれの指定難病ごとに診断基準ははっきりと決められています。4)
指定難病の患者さんは、国から医療費助成(いりょうひじょせい)という治療費の補助を受けることができます。
一次性MPGN(C3腎症を含む)は国内に約1000人5)の患者さんがいると考えられています。2024年時点で440名6)の方が、国からの医療費助成を受けています。
また2015年から2018年にかけて行われた臨床調査個人票(りんしょうちょうさこじんひょう:指定難病の診断書のこと)の調査によると、日本国内の一次性MPGN(C3腎症を含む)の発症年齢は「5~19歳」と「45~59歳」で特に多いことがわかっています。7)

一次性と二次性はどう違うの?
MPGNには、一次性(いちじせい)と二次性(にじせい)があります。
一次性とは、病気になった理由がはっきりとわかっていないという意味 です。
一方で二次性とは、ある病気や飲んでいる薬などがきっかけとなって別の病気になることを意味します。つまり病気になった理由がはっきりとわかっているということです。
二次性MPGNでは原因となっている病気の治療をすることで、MPGNも治すことを目指します。
MPGNやその一部であり新しい分類であるC3腎症と、一次性・二次性の関係を図示すると次のようになります。

2007年から2015年にかけて日本で腎生検(じんせいけん:腎臓の一部をとり出して、くわしく調べる検査)を受けて当時の診断基準でMPGNと診断された患者さんに行った調査によると、10~20代では80%以上が一次性MPGNであるのに対し、40~50代では約40%が一次性MPGNであることがわかっています。8)
二次性MPGNの原因になる疾患って何?
二次性MPGNの原因となる病気には、以下のようなものがあります。
| 病気の種類 | どのような病気? | 具体的な病気の名前 |
|---|---|---|
| 自己免疫疾患(じこめんえきしっかん)9) | 抗原と戦うはずの免疫のしくみが、まちがって自分の体を攻撃してしまう病気 | 全身エリテマトーデス(SLE)やシェーグレン症候群など9) |
| 感染症(かんせんしょう)9) | 抗原が体に入ることで起きる病気 | C型肝炎(かんえん)ウイルスやB型肝炎ウイルスによる感染症など9) |
| 異常タンパク血症(けっしょう)9) | Mタンパク(異常な抗体のこと)によって引き起こされる病気 | クリオグロブリン血症9) MGRS(腎臓病を引き起こす単クローン性ガンマグロブリン血症)など |
- Kidney Disease: Improving Global Outcomes (KDIGO) Glomerular Diseases Work Group. KDIGO 2021 Clinical Practice Guideline for the Management of Glomerular Diseases. Kidney Int. 100(4S): S1-S276,2021
- Alchi B, Jayne D. Membranoproliferative glomerulonephritis. Pediatr Nephrol. 25(8): 1409-18,2010
- 難治性腎障害に関する調査研究班編『エビデンスに基づくネフローゼ症候群診療ガイドライン2020』(東京医学社)p.1
- 厚生労働省「指定難病について」(https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/001316343.pdf)(最終閲覧日:2026年6月30日)
- 難病情報センターホームページ「一次性膜性増殖性糸球体腎炎(指定難病223)」(2026年6月現在)から引用
- 厚生労働省「衛生行政報告例 / 令和6年度衛生行政報告例 統計表 年度報」(https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?stat_infid=000040359224)(最終閲覧日:2026年6月30日)
- Nakagawa N, et al. Demographics and treatment of patients with primary membranoproliferative glomerulonephritis in Japan using a national registry of clinical personal records. Clin Exp Nephrol. 27(11): 928-935,2023
- Nakagawa N, et al. Clinical features and pathogenesis of membranoproliferative glomerulonephritis: a nationwide analysis of the Japan renal biopsy registry from 2007 to 2015. Clin Exp Nephrol. 22(4): 797-807,2018
- 金子佳賢、成田一衛:膜性増殖性糸球体腎炎(日本腎臓学会誌 52(7):899-902、2010)
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監修医師
水野 正司 先生
名古屋大学大学院医学系研究科 腎不全システム治療学寄附講座 特任教授